「はい、統合が失調しているもので…」 桜井

こんにちは!

就労移行支援事業所ciaoセンター南の桜井です。

9月も2週間が過ぎ、暑さもかなりやわらいで来ましたね。

徐々に活動がしやすくなる時期だと思います。

目標に向かって1日1日を有効に活用していきましょう!

本日のciao

本日も予定していた皆さんが通所し、訓練に取り組んで下さいました。

今日も朝から笑い声の聞こえる楽しい雰囲気の中、訓練は進んでいきましたよ。

   

チャオの集い

本日のチャオの集いでは、「コンセンサスゲーム」をまねたゲームを行いました。

コンセンサスゲームというと、合意形成をするゲームで、

「雪山で遭難した」「砂漠の真ん中で取り残された」といった過酷の状況で

生き抜くための必要な道具の優先順位を話し合うといったものが多いです。

しかし、そのまま同じゲームを行ってはつまらないというのが私の考えで、

皆さんには少しひねりを加えたものに取り組んでいただきました。

過酷な状況というと皆さん無人島やら富士の樹海やら、そんな場所を想像するようですが、

私としては、「この世の中自体」が過酷な環境だと思います。

そんな中で、生き抜くのに大切なものは一体何なのでしょうか?

以下の6つから皆さんに優先順位をつけて頂きました。

①尽きない資産

②明晰な頭脳

③強靭な体(心身の健康)

④信頼できる友人

⑤いくら食べてもなくならない食料

⑥一生遊んでも飽きないゲーム

この中の何かを得た場合は、そのほかのことの関しては極めて低いレベルとなるという設定にしました。

例えば、尽きない資産を持っていたとしても、その資産を活用できるような頭脳は持ち合わせていません。

そんな設定の中、皆さんからはいろいろな意見が出ました!

  

「⑤と⑥があれば何の問題もない。」

「尽きない資産を持っていれば、自分のところに集まってくるのは、

ゴロツキばかりかもしれないけれど、生き延びることはできる。」など

しかし、これらの意見はどちらとも自分自身を「活かす」という点においては、

あまり良い選択ではありませんよね。

もちろん、これらの選択肢の中に、正解はありません。

あればありがたいものばかりですよね。

ただ、以前こんな話を聞いたことがあります。

ある資産家の息子がいて、父親が早くに亡くなったそうです。

父親の死後、莫大な財産を得ることができ、父が経営していた会社も信頼できる部下たちによって

なんの問題もなく経営がなされていたそうです。

そんなわけで、その息子は、自分が何もせずとも、自由に使えるお金が手に入ったそうです。

一見、幸せな様に見えますが、結局その方は「生きている実感がない」と精神を病んでしまいました。

人は、対等に向き合える友人がいて、適切な役割があってこそ自分を生かせるんでしょうね。

莫大な資産があってもこの方のような苦しみに陥り、

明晰すぎる頭脳があると、「アルジャーノンに花束を」のチャーリーのような苦悩を抱えます。

そう考えると、信頼できる友人がいるというのが最も大切なことの一つなのかもしれませんね。

現に、当事業所に通所されている方々の中にも、

通所前は他者とのかかわりがほとんどなかった方も少なくありません。

事業所に通所し、他の方々と関わり合うことで、笑顔を取り戻している様にも思えます。

結局、人は人の中にいてこそ活きる存在なのだと思います。

周囲の方々との人間関係を大切にし、自分を活かす道を探していきたいですね。

「統合が失調しているもので…」

本日は、履歴書を作成するために、自分の障害特性や必要な配慮をまとめる時間を設けました。

その時間中にAさんが「障害特性についてまとめてみたんですけど、聞いてもらっていいですか?」

と私のもとにやってきました。

その内容を聞いていると、抽象的なことと具体的なことが入り混じっていたり、

項目ごとに内容がまとまり切れていなかったり、という状態でした。

私はAさんに「まとまり切れていないですね。」と話すと、

「はい、統合が失調しているもので…」と答えました。

なんと、Aさんは自分の抱える障害を自虐ネタにしてしまったのです!

この瞬間、私は「この人は自分の障害や自分が障害者であることを受け入れた。」と感じました。

過去の失敗や自分の至らない点を笑い話にできるのは、

そのことを自分自身で受け入れられないとなかなかできるものではありません。

今日は、また一人、当事業所で障害に対する悟りを開いた方が増えた一日となりました。


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